多くの日本人にとって、仏壇とは、ご先祖様や亡くなったご親族を祀ったり、ときにはお参りや対話をしたりするものでしょう。しかし、本来の仏壇とは、言葉のとおり仏様を祀り、仏像や仏具を飾るための「壇」――つまり、祭祀のための台のことを指します。ご家庭にある仏壇は、寺院にある仏壇をコンパクトにしたもの。いわば、仏壇は、家庭のなかのお寺のような存在と言えるのです。
日本人の多くは、仏教を信仰していながらも、厚い信仰心を持っていないと言われています。実際に、自分が仏教徒であると自覚している人はさほど多くはないでしょう。しかし、仏壇や位牌を家のなかに置くことや、折にふれそれらに向けて手を合わせることは、まさしく心のなかに「仏様」を抱えていることにほかなりません。仏壇は、多くの日本人に仏教の心が息づいていることの証しと言えるのです。
